午前中に仕事をひと段落つけたので、午後はタイル活に勤しみます
今日はこんな動画を見つけました
タイトルは、その名も「マジョリカタイルに生きる」
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動画「マジョリカタイルに生きる」
台湾の番組・・・なんでしょうか。
台湾花磚博物館の館長さんのマジョリカタイル保存活動についてが中心に、その経緯やマジョリカタイルの歴史、成り立ち、今後どう関わって行くかなど、50分間に濃ゆい内容が詰め込まれています。
日付は今年の8月とあります。
イナックスギャラリーの展覧会「憧れの連鎖」と同時期ですし、そちらについても多く取り上げられています。
この超面白そうな展示を見そびれてしまい、一足遅かった!と残念がっていたのですが(だってコロナが落ち着いたらここに行く予定だったんだもの)こちらの動画によって、何となく私が引っかかっていたこと、疑問など、諸々を結構知ることができました。
存在を知った時からの疑問
で、表題の件(笑)
そう。
先日本を買ってから、胸の中でもやもやしていたひとつのギモン。
和製マジョリカタイル、若しくは台湾のマジョリカタイルといおうか、ガーリィな雰囲気すら漂うこれらの可憐なタイルたちって・・・
え、ちょっと待て。
マジョリカタイル???
ってことなんですよ。
実は私が習っている技法の中にマジョリカ焼きがあって。
色々な作品があるので、一言では言えませんが、私の知ってるマジョリカ焼って割と大味、というか線が太く、のびのびしたちょっぴり緩い感じ、そして平面的なんですよね・・・全部が全部じゃないんですけれど。
色合いもちょっと違うんです。
一方、「マジョリカタイル」は図案なんかも、イスラム文化の香りがあまりしてこなかったりとか。
で、和製マジョリカタイルの起源が、「イギリスのタイルの模倣」と聞いて、さらに、んん?っと・・・。
「マジョリカタイル」と「マヨリカ(マジョリカ)焼き」
「マジョリカタイル」と聞けば、「マヨリカ(マジョリカ)焼きの製法で作られたタイル」って考えるのが普通じゃないですが・・・。
そしたら動画の中で、台湾の建築家さん?作家さん?がバッサリ
「だーよーねー!」
と、つい画面の前でひとりごちってしまいました。
で、とりあえず、師匠に聞いてみた
この「マジョリカタイル」って呼び方には、少々論争みたいのもあるみたいで・・・。
動画の中でイナックスの学芸員さんがその件についても触れていますが、私はとりあえず、自分の師匠に直接聞いてみました。
実は、師匠の生徒さんの中でもイナックスの展覧会に行った方が、何人かいらっしゃったみたい。
そして、同じことを聞かれたそう。
ざっくり説明すると・・・。
「マジョリカタイル」というのは、イギリスのメーカーが、工業生産ベースにのせて作った、”まるでマヨリカ焼きのように色鮮やかなタイル”につけた“商品名”だった、とのこと。
そもそもマヨリカ(マジョリカ)焼きも、マヨリカ島が発祥の地、というのとは少し違っていて、なんだかものすごく紛らわしいのですが、マヨリカ焼きは、もともと白い土で焼かれたビスクに更に白いエナメルを塗って、その上に絵付けをするという技法なので、表面がツルツルで、色がとっても綺麗に仕上がります。
こんな感じ。自分で作ったやつですが↓↓↓↓↓
師匠はこの辺り(マジョリカ焼き)の知識がものすごく、雑誌の特集などに声がかかるような方なので、今の私の言葉だと全然説明しきれてないのですが・・・
更に深めたい、という人がいたら、不定期でZOOMセミナーが開催されておりますので、覗いてみてください(笑)
https://la-ceramica.com/italian-pottery/italy-in-love/
結局、そもそも別物だった(笑)
で、「マジョリカタイル」に話を戻しますが・・・
ということで、「マジョリカタイル」と「マヨリカ焼き」というのは、全く別物ということ。
で、その「マジョリカタイル」という商品名を持つイギリスのタイルを、更に模倣して、かつて日本で大量に生産されたのが「和製マジョリカタイル」なんですって。
ややこしいですねー!笑
しかしながら、この「和製マジョリカタイル」。
個性的、という言葉じゃ片付けられないくらい、独特だなあ、と感じました。
台湾花磚博物館の館長さんは、驚くことにご自分で私財を投じ、取り壊される古い家などからタイルを一枚一枚集め、現存する古民家の修復にそれらを無償で提供する、という活動を続けておられるそう。
古き良き文化を保存していこう、という側面もあるでしょうが、「マジョリカタイル」そのものの不思議な魅力がそうさせる部分も大きいのではないかな、と想像します。
ちなみに。
これらの「和製マジョリカタイル」は、日本国内にも、残されたスポットがいくつかあるのですが、海外で使用されているように、エントランスや外壁などの表側のあしらいに使われているものってほぼ無いんですよね。
ちょっぴり派手なこれらのタイルは、奥ゆかしい日本人の感性にはあまり馴染まなかったみたいです。
ということで、こちらも海外向けに作られたもの・・・なんでしょうね。
と言うわけで、強引なまとめ・笑
前の記事で取り上げた枯損もそうなんですが
異文化を取り入れる時の折衷の配分というか、寄せかた、みたいなものに、独特の美学がある。
それは、自己アピールよりも周囲への配慮を優先する日本人ならではの感性によるものなのではないでしょうか。
そして、これは他には変えられない魅力のひとつなのでは、と思うのです。
私は、この独特な感性こそが日本を救うのではないかと思っています(笑)