小原 古邨さん。
2年前にテレビで知り、すぐに展覧会に足を運び、大大大ファンになりました。
美術教師だった母の影響で、子供の頃から展覧会に数多く足を運び、気づいたらなんとなーく芸術に目覚め(笑)学生時代油絵を専攻するに至った自分はは、あまり公にはしてないのだが、結構な美術オタクだと思います。
しかし、そんな私があれほどの感激したのは、数十年前(91年???)に伊勢丹美術館で心の師匠(笑)ボナールの回顧展を拝見した時以来かもしれません。
凄いんです、このかた・・・。
まず惹かれるのは、色使い。
18、19世紀に描かれた日本画とは思えない、華やかで、時に大胆な配色。
海外のお客さんのお土産として描かれたもの、と聞いて、なるほどー、と思ったのですが、和と洋のギリギリを攻めた絶妙な色の選びが本当に素敵。
また、花、鳥などの有機的なフォルム、質感の表現はずっと眺め続けても飽きないほど魅力があります。
動物たちの表情もなんとも言えない愛嬌があって、それでいてとても上品で、洗練という言葉がぴったりくる感じ。
それに・・・なだろう?あの実物の、上質な感じ。
ジャポニズムの影の功労者というのが一目見てわかってしまう、理解できてしまう、圧巻のクオリティなんです。
という訳で、それからというもの、全力で人に薦めまくっています(爆)
それはおそらく私だけでなく、歴史に埋れて気づかれなかった奇跡の画家を知り、同じように感じている人は沢山いるようです。
なんていうか、久々の大ヒット。このタイミングで出会えたことに感謝しなくちゃって思います。
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小原 古邨(1877~1945)簡単なプロフ
明治から大正、昭和と活躍した花鳥画・木版画の下絵師。その作品は当時来日した欧米人のお土産品として人気を博した。海外には当時から現在までコレクターが多く存在し、国外では・M・サックラー・ギャラリー、ボストン美術館、大英博物館などに所蔵。日本には作品が残っておらず、無名といっていい存在であったが、2018年茅ヶ崎美術館にて初の大規模回顧展が開催、NHK 日曜美術館で特集が組まれ話題になり、ついにブレイクを果たす!
で、私との出会い(笑)
没後70ウン年を経て、茅ヶ崎美術館での回顧展とNHKの特集で、超話題を集めた古邨さん。
その1年後、太田記念美術館で再び展覧会が行われたのだけれど、その時に特集番組の再放送があって。
日曜美術館は、日曜の朝のルーティーンの流れて、用事がなければ普段からBGMがわりに流し見しているような番組のひとつではあったが・・・。
この時はちょっと違った・・・(笑)
画面越しに数点拝見してすぐのこと。体が熱くなるほどの衝撃と感激を覚えました(笑)
あんなことってあるんですねえ。それまでの四半世紀、ほぼ作品を見たことないんですもの、インパクトもひとしおです。
そんな出会いというのは、滅多にある訳じゃない。
その衝撃とともに、観た瞬間、「あっ!!!!これ・・・まさか元ネタじゃ?!」
って思ったの。なんの元ネタかっていうと・・・。
そ、ジャポニズムです。
19世紀、印象派や象徴主義などに大きく影響を与え、多くの名作を生み出したムーブメントのひとつ。
線の抑揚、面の使い方、構図・・・対象と背景のバランスなど、直感というか、非常に感覚的なものなのですが。
その中でもまず思い浮かんだのはロートレックとクリムトでした。
ジャポニズム、と一括りに言っても、「ジャポン」の取り入れ方は多様ですが、このお二方はちょっとした共通点がある気がしていて。
デッサンの達者さと、簡潔な線と面が生む滑らかなアウトライン、主役をどん!と中央に大きく配置する感じとか。
しかしねえ。
古邨の版画を観て、「ジャポニズム」と呼ばれる数々の作品、作風に、ここまで近い作品がすでにもうあったのだ!!!と知った衝撃と言ったら(笑)
いやー、「ジャポニズム」って、「イズム」なんかじゃなく、もはやほぼ「パクり」だったのか?(ゴッホの模写紛いとかは別としても)・・・疑わしいぞ、とか(笑)
ちなみに、WIKIによると、実際にクリムトは古邨の作品を愛蔵していたとか。
ということで、私の感覚も満更でもないみたいと思いつつ、それだけ彼らに齎した影響が強い、ということなのでしょうねえ。
その他の巨匠だって、古邨の木版画を手元に置きながら、美術の教科書でお馴染みの名画の数々を描き上げた可能性も十二分にあるでしょう。
すっごくロマンチックじゃないですか???
実物を目にして更に・・・・
画面越しで作品を見たときも、その後速攻太田記念美術館に出かけてしまうくらいだったので、相当気に入ったというか、すでに大大ファンくらいにはなっていたのですが・・・。
その時実物を目にして更に!更に、その魅力に驚く〜!
画面越しでは気付けなかった、木版画のあらゆる技術が随所に、効果的に、相当お洒落に使われていてなんていうか、ため息ものなんです。
例えば、これなんかだと
このおうむのボディ、ただ羽が描いてあるのではなく、空擦(エンボス加工)による繊細なマチエールで表現されてる。
他にも、例えば黒ベタかと思いきや多色使いだったり、キラキラする顔料が使われていたりで、なんとも美しいんです・・・。
だから、一枚一枚、どうしても見入ってしまいます。
その日の太田記念美術館はかなり混雑していたんですが、どのギャラリーも非常に時間をかけて鑑賞されていたのが印象的でしたね。
牛歩の歩み、というか・・・あんな展覧会はあんまりないと思いました。
年齢層もすごーく幅広く、男女比も同じくらい。
なんていうか、ある種、熱気を感じました!!!
私も萌えてましたし(笑)
しかしながら、世界史に残る巨匠をも魅了する作品たちなのです。
当然、と言えるかもしれませんねえ。